時は天元――春。橘氏の長女・光子は悩んでいた。溺愛する弟・則光の結婚相手であるなぎ子は、クセ毛をなびかせ、独特な衣をまとった、およそ平安の常識からは外れた女性だったのだ。しかも、彼女は誰にも言えない大きな秘密を隠しており――?
なぎ子
なぎこ
歌人で名高い清原家の血筋。他の人とは違う独特なセンスの持ち主で、和漢の才に長け雅を愛する。
光子
みつこ
早くに亡くなった母の代わりに育ててきた弟の則光を溺愛する。まだ独り身なことにコンプレックスを抱いている。
則光
のりみつ
光子の弟。なぎ子と結婚するも、彼女に認められていない。武芸しか能のない朴念仁を自認する。